映画「ピクセル」の評価~田村泰彦

◇ピクセル(米)(2015年)

ゲームの世界のキャラクターが、実写の中に入り込んできたような作品。かつてゲームセンターにあった「ドンキーコング」などのキャラクターが、ゲーム映像そのままで現れる。40~50代は郷愁を誘われるだろう。達人たちのスティックさばきを後ろから食い入るように見ていた、少年時代を思い出した。

1982年、NASAはゲーム大会の映像を友好のメッセージとして宇宙へ打ち上げた。これを宣戦布告と受けとった異星人が33年後、地球を侵略してくる。グアムの基地を襲ったのは「ギャラガ」。物や人を細かい立方体に分解してしまう。インドも攻略され、地球側の2敗。先に3敗したら地球滅亡だと異星人側がゲームのルールを一方的に突きつける中、米大統領は親友のブレナー(アダム・サンドラー)ら、ゲームオタクたちに助けを求める。

白眉は「パックマン」との戦いだろう。街がゲームの舞台となり、パックマンは全てを破壊して猛然と通りを進んでくる。ブレナーたちは、車に乗り込むと、連携してパックマンを追い詰め、撃破する。碁盤の目のように区切られた米ニューヨークの街を俯瞰(ふかん)した映像は、まるでゲーム画面を見ているようだ。

ゲームの敵を実際に打ち倒すという、子供の頃の夢を高度なCG画像を駆使して実現させた。監督は「ホーム・アローン」などのクリス・コロンバス。ホール&オーツの音楽などもまじえ、1980年代テイストにあふれた映画に仕上げた。1時間45分。

参考: https://www.o3sympo.com/

田村泰彦

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